山童のパックラフトは足元がやや狭め。
バウの後ろに足を踏ん張って、バックレストに腰を押し付ける様にして乗ることを前提に設計しています。
これには理由があります。
ダウンリバーでは、源流域では滝からのドロップオフがあったり、上流部では深いホールがあったり、海では波に突っ込むこともあるでしょう。
この時、空気の圧力だけで形成されているパックラフトは容易にひしゃげてしまい、急速にブレーキがかかってしまいます。
こうなると波を乗り越えることができずに転覆してしまう様なトラブルが発生。危険を伴います。
パックラフトの剛性を上げる為、山童のパックラフトではチューブ径を大きくしています。
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もうひとつ、剛性を上げる構造として取り入れているのが、狭めのコックピットにすることで足を突っ張れる構造にしたこと。足がパックラフトの骨格の一部として機能することで、空気の圧力だけでは無し得なかった高い剛性を得る事に成功しています。
しかも単にフレームが入っただけではなく、適度に曲がった膝がショックアブソーバーとしても機能し、船体にかかる力をしなやかに逃します。どんな最高級のサスペンションも未だ人間の膝には敵いません。
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もう一点。重要な要素の一つに、パックラフトとの一体感があります。
下半身がしっかりとパックラフトに固定される事で、波で舟が暴れても水中に投げ出されず、しっかりとコントロール下に置く事ができる様になります。
サイブレイスによる膝固定に加え、タイトフィットなコックピット構造により驚くほどの人馬一体感を体感することができます!
山童のパックラフトでは2点式のシンプルなインフレータブルバックレストを採用していますが、実はこれもタイトフィットコックピットと組み合わさることで驚くべきほどのサポート感を得ることができるんです。
バックレストの取り付け位置にはからり強い拘りを持ってます。
それこそ何度も微調整をしながらベストな取り付け位置を研究しています。
開発費や時間をかなりかけたポイントです。
しっかり足を踏ん張ることで、スターンに腰を押し付けることができます。しっかりと張りのあるチューブの内壁を足と腰で押し付けることができるから、EVAバックレストよりもはるかに高い固定力を得ることができます。
この上で、腰の上部をバックレストがサポートすることで、これまでに体感したことがないくらいの高いサポート感を得ることができる様に設計しています。
山童のパックラフトは、" 人馬一体 " となる設計にこだわり抜いています。
特に " 高山流水 " では、パックラフトとの一体感、統制の取れた前後荷重配分、高い船体剛性、全てをコントロール下におけるパックラフトのサイズ感にこだわり、激流のホワイトウォーターにおいて既存のパックラフトの常識を覆す運動性能を実現しています。本当にすごいですよ、高山流水!
" 山紫水明 " は船体サイズが小さいことや、軽量コンパクト性を最優先に設計を行なっている為、他の山童のパックラフトに比べると運動性能は低くなります。
しかしだからと言って一切の妥協をする事はなく、タイトフィットコックピット、サイブレイス、バックレストの適切な配置、ロールトップ開閉式セルフベイラーなどの装備によって軽量コンパクトモデルの常識を覆す運動性能を有しています。普通のダウンリバーで困る事はほとんどないでしょう。
この様な理由から、足を伸ばし切って乗るパックラフトの設計は問題があると考え、山童のパックラフトではタイトフィットなコックピット設計することでコントロール性を高めています。
身長が低い方においても、サイブレイスの固定位置の調節によりデッキの足裏と足首のテープで踏ん張れる様工夫しています。
これらの構造により、山童のパックラフトは極めて高い運動性能を会得する事に成功しています!